新潟・越後妻有の大地の芸術祭に行ってみたい!
でもエリアが広くてどの作品を見ればいいのかわからない……
こんな悩みを解決します!
こんにちは、よるるです。
【この記事を書いた人】
ギリギリ昭和生まれのフリーライター・翻訳家。学生時代にイタリア留学→ミラノで1年勤務。ヨーロッパ中心に一人旅歴10年。荷造りと旅行計画が大好き!
大地の芸術祭2022のおすすめ作品をエリア別にご紹介します。
私はアート大好き、各地の芸術祭も毎年楽しみにしています。
中でも、2018年に巡った「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2018」はすごく充実していて印象に残っています。
アートが素敵なのはもちろん、ごはんもお酒もおいしくてパラダイスなんだよね〜
新潟自体も旅行先として大好きなので、今回の「越後妻有 大地の芸術祭 2022」にも行くことを決めました!
この記事では、前回実際に見て良かった作品や、注目の新作など、おすすめ作品を紹介していきます。ぜひプランニングの参考にしてくださいね。
「越後妻有 大地の芸術祭 2022」基本情報
2000年にスタートした「大地の芸術祭」は基本的に3年ごとに開催され、今回で8回目を迎えます。
2021年には新型コロナウイルスの影響で延期されましたが、2022年に無事開催となりました。
今回は開催期間の大幅な延長、中心となる「越後妻有里山現代美術館 MonET」の大リニューアルなど、新たな試みがいっぱいです。
開催日程
2022年4月29日(金・祝)〜11月13日(日) 全145日
※全日程を通して火・水は定休(5月3日、4日は開催)
鑑賞時間
10:00〜17:00(10月、11月は10:00〜16:00)
※案内所や拠点施設などによって異なる場合あり
開催地
越後妻有地域(新潟県十日町市、津南町)760k㎡
アート作品数
333点(うち新作123点)
参加アーティスト
38の国と地域263組(うち13の国と地域、95組が新規)
最新情報や詳細は公式サイトでチェック!
引用:『越後妻有 大地の芸術祭 2022 公式ガイドブック』
\公式ガイドブックはこちら/
大地の芸術祭 6つの開催エリア
大地の芸術祭は開催地が760k㎡にのぼり、東京23区(626.7k㎡)よりも広大。
作品によっては展示期間が限られていることもあって、点在する作品333点をコンプリートするには最低1週間、普通にまわったら2週間くらいかかるのではないでしょうか。
ちなみに2018年に訪問した際、ツアーにも参加して駆け足で巡りましたが、鑑賞できたのは2泊3日で380点中137点でした。
というわけで、6つのエリアごとに「これはぜひ見ておきたい!」という作品を厳選しました。
※十日町エリアは地域の中で最も広いので、「中心市街地」と「北&南」に分けています。
十日町エリア|中心市街地
十日町駅周辺の芸術祭の拠点となるエリア。美術館(MonET)を中心に歩いて回れる作品も多いです。
十日町駅から徒歩3分ほどの距離に「越後妻有里山現代美術館 MonET」があり、作品がまとめて展示されているので、とりあえずココだけ訪問すればかなり満足度がアップ!
レアンドロ・エルリッヒ《Palimpsest:空の池》
美術館はユニークな構造の建築で、中心にある池をぐるっと囲むように展示室が設けられています。
空が映し出される池は、アルゼンチンのアーティスト、レアンドロ・エルリッヒの作品。金沢21世紀美術館の《スイミング・プール》や青森・十和田市現代美術館の《建物ーブエノスアイレス》など、だまし絵のような作品が有名ですね。
池の水には入ることができて、足首くらいの深さ。映え写真を撮ろ〜♪
中谷芙二子《霧神楽》
「きりかぐら」って、鬼滅の新技……?!
ざんねん、違います。
「霧の彫刻家」として有名な中谷芙二子のインタラクティブな作品。
上の画像は2018年にアメリカで実施された時のものですが、今回は上述したレアンドロ・エルリッヒ《Palimpsest:空の池》の上に登場します。霧の中を通ることもできるので、不思議な現象を体全体で楽しみましょう。
目[mé]《movements》
アートチーム目[mé]のインスタレーション《movements》は今年の新作。小さな生き物の群れのように見えるのは、なんと8,000個もの時計!「個々の時計固有の意味と、ひたすらに回る運動としての全体」によって、意味・無意味、主体・客体、個・公といった両極の間の世界を表現した作品です。
「さいたま国際芸術祭2023」のディレクターにも就任した目[mé]の大掛かりな作品、必見ですね!
十日町エリア|北&南
十日町駅を挟んで東西に広がるエリア。車がないと鑑賞が厳しい作品もありますが、バスや電車を駆使すれば見られるところもありますよ。
パノラマティクス/齋藤精一《JIKU #013 HOKUHOKU-LINE》
テクノロジーを駆使した試みで知られる「ライゾマティクス」から生まれた「パノラマティクス」による光と音のインスタレーション。
ローカル列車・北越急行ほくほく線に乗車すると、トンネル内にホームのある美佐島駅で見ることができます。運行日が限られているうえ(ほぼ土日のみ)、1日4便しか走っていないので、タイミングが合う方はぜひ!
布施知子《うぶすなの白》
築100年の古民家を改装したやきものの美術館「うぶすなの家」に設置された新作。
「風の茶室」「闇の茶室」「風の茶室」「光の茶室」に、白い折り紙を使った作品が展示されています。無限に分割していく「無限折り」で、うぶすなの家に宿る精霊を表現しているとのこと。
「うぶすなの家」には宿泊も可能。1階のレストランでは地元の食材を使ったヘルシーランチをいただくこともできます。空間そのものも見ごたえがあるので、時間を調整してぜひ立ち寄りたいスポットです。
川西エリア
信濃川を挟んで十日町の反対側にある川西エリア。見晴らしのいい「ナカゴグリーンパーク」が中心施設です。
古くから稲作や商業が盛んだった地域で、豪農・豪商として知られる星名家の邸宅が重要文化財として残っています。
里山アートどうぶつ園ーどうぶつたちのソーシャルディスタンス
「里山アートどうぶつ園」は前回の芸術祭でもやっていたのですが、作品が一新されました。
若手作家25組による動物モチーフの彫刻作品が、ナカゴグリーンパーク内に点在しています。かわいかったり、ちょっと不気味だったり、いろいろな動物たちがいるので、探しながら散策すると楽しいですよ。
晴れた日は公園としても気持ちがいい場所なので、ファミリーにもおすすめ。
ジェームズ・タレル《光の館》
「光の芸術家」と呼ばれるジェームズ・タレルによる建築作品。タレルが谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』にインスピレーションを受けて作った瞑想の館です。降り注ぐ自然光がLED照明と見事に融合して、空間が刻々と移り変わっていきます。
宿泊もできますが、大人気なので会期中の土日はほぼ満室。浴室など宿泊者しか見られない部屋もあるものの、作品鑑賞だけでも可能なので訪問してみましょう。ナカゴグリーンパークから徒歩5分くらいのところにあります。
これまで「光の知覚」を探求してきた私にとって、『光の館』とは、昼と夜、東洋と西洋、伝統と近代を対比するとともに融合する試みであった。
ジェームズ・タレル
中里エリア
十日町エリアの南側、清津川に沿って広がるエリア。日本三大渓谷のひとつ清津峡や、名勝天然記念物の「七ツ釜」などがあって自然豊か。
東京から向かうと越後湯沢駅から十日町の途中にあたるため、ドライブで横断しやすいエリアです。
マ・ヤンソン/MADアーキテクツ《Tunnel of Light》
もはや大地の芸術祭を代表するイメージとなった清津峡渓谷トンネルの作品。SNSやメディアで見たことのある人も多いのではないでしょうか。
潜水艦に見立てた全長750mのトンネルと、終点のパノラマステーションで構成されています。自然の「5大要素」(木、土、金属、火、水)全てを利用しており、まさに大自然の中だからこそ実現したアート。
2021年にはトンネル内の一部が回収され、トイレ周辺の空間が黒白のストライプで覆われました。だまし絵の中に入ったような感覚、ぜひ体験してみてください!
松代エリア
メイン拠点のひとつ「農舞台」を中心とした、ほくほく線まつだい駅周辺のエリア。
十日町に次いで多くの作品が密集しているので、時間のない人にもおすすめ。
イリヤ&エミリア・カバコフ《棚田》
2020年に制作され、大地の芸術祭を象徴する作品となった《棚田》。中に浮かんだ文字と棚田の間には、写真で見るよりも距離があります。まさに里山の風景がなければ成り立たないサイトスペシフィックなインスタレーションですね。
写真は「農舞台」からの眺めですが、棚田を歩くことも可能。近くの山の中にも作品が点在しているので、体力のある方はぜひ回ってみてください。
エステル・ストッカー《憧れの眺望》
山の頂上にそびえる松代城内にある新作。1階に本作があり、2階と3階にもそれぞれ別の作品があります。「農舞台」から徒歩で行けなくもないですが、2km以上あるので車がおすすめです。
エステル・ストッカーは幾何学的な作品で知られるアーティスト。自然の風景を突っ切る感じで松代城に到着すると、突如としてグリッド状の部屋が現れます。時空の狭間にあるようなモノクロ空間で、自分の心と向き合ってみましょう。
私たちは頭の中で常に物事を整理して構造化し、それを実生活の中で実現しています。それは私たちの「内なる性質」といえるでしょう。しかし、これは変えることができるのです。そのためには、心や知覚をひらき、合理的なシステムに対して批判的な意識を持つことが重要です。
エステル・ストッカー
イ・ブル《ドクターズ・ハウス》
松代エリアには空き家を活用した作品がいくつかあり、独特の雰囲気をまとっているので、ひとつは訪問したいところ。
診療所だった建物を使った《ドクターズ・ハウス》は、2018年に鑑賞した中で印象に残っている作品です。鏡が張り巡らされた室内に、古い医療器具などが散らばっていて、異空間に迷い込んだような気分に。
イ・ブルは六本木の森美術館でも個展が開催された注目の女性アーティストで、本作も期待を裏切らない作品に仕上がっています。
松之山エリア
日本三大薬湯・松之山温泉の周りに広がる複雑な地形のエリア。
大きめの施設も複数あるので、温泉街に宿泊してゆっくり鑑賞して回るのもいいですね。
クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマン《最後の教室》
廃校全体に設置された体験型インスタレーション。温風が吹きつけるなか真っ暗な体育館や、シーツで覆われた机と椅子があやしく光る教室など、ちょっと肝試しみたいな感覚が楽しめます。
2021年に惜しまれながら逝去したボルタンスキーは、《心臓音のアーカイブ》など存在と不在、記憶と忘却などをテーマとして発表してきました。《最後の教室》も、集団的な記憶が閉じ込められたような濃密な空間となっています。
塩田千春《家の記憶》
記憶をメインテーマとする日本人アーティストといえば、塩田千春。現在はベルリン在住ですが、越後妻有に2週間滞在して制作に集中したそうです。
2階建ての空き家に張り巡らされた黒い毛糸には、地元の人たちから譲り受けた衣類や家具が編み込まれています。通常は目に見えないですが、長く住んだ家には、暮らしの中で培われた記憶がまとわりついていきますよね。今は誰も住まなくなった家にこびりついた記憶が美しく表現されている作品です。
▼このエリアにある宿「松之山温泉 凌雲閣」のレポートはこちら
津南エリア
開催地域南西一帯の津南エリアは、信濃川の支流・中津川沿いまで広がっています。
それぞれの作品間には距離がありますが、パフォーマンスが繰り広げられる「上郷クローブ座」や、宿泊できる校舎「かたくりの宿」などがあります。
早崎真奈美《Invisible Grove 〜不可視の杜〜》
日本酒で有名な新潟には、酒造もたくさん。こちらは苗場酒造の建物内に設置されたインスタレーションです。菌や植物などの顕微鏡イメージを拡大し、紙から切り出したオブジェを作成。日本酒づくりに欠かせない酵母など目に見えないミクロなものが、宇宙のようにマクロに広がっていくイメージが表現されています。
1階では苗場酒造のお酒を買うこともできるので、お酒好きはぜひ立ち寄って地酒をゲットしましょう。
▼このエリアにある秘境の温泉宿「かたくりの宿」レポートはこちら
まとめ:どのエリアも魅力的!気になる作品目指して出かけよう
この記事のポイントをおさらいしましょう。
- 大地の芸術祭には6つの開催エリアがある
- 十日町エリア|中心市街地のおすすめ作品
- レアンドロ・エルリッヒ《Palimpsest:空の池》
- 中谷芙二子《霧神楽》
- 目[mé]《movements》
- 十日町エリア|北&南のおすすめ作品
- パノラマティクス/齋藤精一《JIKU #013 HOKUHOKU-LINE》
- 布施知子《うぶすなの白》
- 川西エリアのおすすめ作品
- 里山アートどうぶつ園ーどうぶつたちのソーシャルディスタンス
- ジェームズ・タレル《光の館》
- 中里エリアのおすすめ作品
- マ・ヤンソン/MADアーキテクツ《Tunnel of Light》
- 松代エリアのおすすめ作品
- イリヤ&エミリア・カバコフ《棚田》
- エステル・ストッカー《憧れの眺望》
- イ・ブル《ドクターズ・ハウス》
- 松之山エリアのおすすめ作品
- クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマン《最後の教室》
- 塩田千春《家の記憶》
- 津南エリアのおすすめ作品
- 早崎真奈美《Invisible Grove 〜不可視の杜〜》
- どのエリアも魅力的!気になる作品目指して出かけよう
大地の芸術祭開催地域6つのエリアは、どこも違った表情を持っていて魅力的です。作品も全制覇したいところですが、日数がないとなかなか難しいので、お目当ての作品をしぼっておくといいですよ。
今回の鑑賞レポートも追って公開するので、合わせてぜひ参考にしてくださいね!
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